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はじめに
精神看護が看護基礎教育のなかで確立されたのは,1997(平成9)年4月からである。それまでは成人看護の一分野としての扱いを受けてきた。このため,大学などでなければ,精神看護の専任教員は少数であった。現在では精神看護の専任教員は存在するが,精神看護の臨床経験がない教員も多い。精神看護が科目として独立した1996(平成8)年度のカリキュラム改正以後に,精神看護の専任教員となった方々のなかには,成人看護や基礎看護が専門だったので,精神科の経験はないという教員もいる。
古い調査になるが,金城1)は「精神看護学担当教員は臨床経験が少なく,教育に困難を抱えながら,しかもサポートもなく試行錯誤している」という報告をし,精神看護学担当教員の認識している困難な問題の内,教員歴5年未満の教員の困難な内容として「教員が精神看護の臨床経験がないため,指導が難しい」ということを挙げている。もちろん,比較的最近専任教員になった方々のなかでは,精神科の病棟経験者が増えていると思う。
精神科での病棟経験をもとに精神看護の教員をいくつかに分類すると,(1)精神看護の研究はしているが,まったく臨床経験がない,(2)他科での臨床経験はあるが,精神科の病棟経験がない,(3)保健師としての経験はあるが,精神科の病棟経験がない,(4)精神科の病棟経験自体はあるが2年以内である,(5)精神科の病棟経験が3年以上ある,といった分け方ができよう。
もちろん(5)の場合が望ましいことはいうまでもない。(4)の場合は精神疾患についてある程度肌身に感じ取った経験がプラスに作用するだろうが,(1)(2)(3)の教員は精神科病棟の経験がないことによる問題が発生する可能性があるだろう。それでも実際は,大学・短大の教員では(1)(2)(3)が多く,専門学校では(2)が多いのではないかと考える。
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