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はじめに
2007(平成19)年4月時点で,2年課程通信制(以下,通信制)の看護師養成所は,全国で20校を数えるまでに増加している。諸事情で進学しなかった准看護師がこの通信制で学ぶことにより,准看護師制度が事実上の廃止につながるのではないかと期待している。また,同年からの7対1入院基本料新設により,全国の医療施設が,看護師確保に奔走していることは周知のことであろう。したがって准看護師の移行教育としての通信制看護師養成所の役割は非常に大きくなっている。
さて聖母看護学校(以下,当校)は,2005(平成17)年4月に学校法人聖母学園を設置母体とし,通信制看護師養成所として開校した。1学年の定員400(収容定員800)名であり,他の通信制看護師養成所と比較しても学生数が非常に多い。入学資格の一つに,「准看護師として10年以上の業務に従事した者」という内容が求められていることもあり,学生は20代後半からの年代である。
その学校を,専任教員16名,事務職員5名が運営にあたっている。通信手段を用いた教授活動という特殊性,および学生数が非常に多いという理由から,学生への印刷教材の発送準備,学生からの教員宛レポートの受け取り・仕分け,授業に使用する資料の印刷といった業務から成績管理までのすべてを,5名の事務職員が担っている。
当校の教員は,科学的根拠にもとづく看護実践活動および論理的思考による問題解決能力を効果的に教授する方法を常日頃から課題としている。また学生と教員が対面をしながら指導する機会が少ないため,ヒューマニズムを重視した看護をいかに教授していくのかも重要な課題である。通信制の学生は,基礎・専門基礎・専門科目を放送授業で学習する。それらの内容を統合し,さらなる看護実践能力を構築するために,臨地実習の果たす役割は大きい。
本稿では,当校の臨地実習形態および教員の介入について紹介するとともに,今後の通信制の臨地実習の課題について考察する。
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