特集 医療安全教育─カリキュラム改正をにらんで
「看護の統合と実践」での医療安全教育を考える―各科目での医療安全教育を踏まえて
川村 治子
1
1杏林大学保健学部救急救命学科
pp.786-791
発行日 2007年9月25日
Published Date 2007/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100764
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はじめに
かつて,注射事故といえば,施注時の神経損傷などをイメージしました。これは注射手技での事故です。しかし,今日の注射事故とは,複雑な注射業務のなかで起きた薬剤や投与方法,投与速度の間違いによる重大傷害や死亡のことです。短い在院日数で入れ替わる患者,頻繁な病態変化による指示変更,混乱する医師・看護師間の情報伝達,誤使用を招く類似薬剤の存在,多用する医療器機,注意力を低下させるタイムプレッシャーなどが人間の間違いを誘発します。
医療安全教育では,こうした臨床の現実にも目を向けなければなりません。そこで,個々の技術の医療安全は各科目で,一方,多様な患者と複雑な業務を想定した実務的な医療安全は,「看護の統合と実践」で教えるというのが,最も望ましい教育のあり方ではないかと思います。
本稿では,各科目と「看護の統合と実践」,それぞれの医療安全教育のあり方について考えてみたいと思います。
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