焦点 補完代替医療における看護療法の検証
補完代替医療における看護療法の位置づけと課題
小板橋 喜久代
1
1群馬大学医学部保健学科
キーワード:
補完代替医療
,
看護療法
,
健康生成
,
看護の役割
Keyword:
補完代替医療
,
看護療法
,
健康生成
,
看護の役割
pp.449-456
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100156
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「CAMとは何か?」から,「CAMのなかで何ができるか」の問いへ
1960年代のアメリカで,主流医学体系に対する対抗文化として起こったとされるcomplementary alternative medicine(以下,CAM)の流れをうけて,わが国においても1998年に代替補完伝統医学連合会が発足し,2000年に統合医療会議が開催され,CAMや統合医療を推進しようとする組織的な活動が始められた(帯津,1999)。当初,一般市民の関心の高さに比べて,医療界全体としては足踏み状態であったが,2005年以降は専門誌上にCAMの記事は格段に増えており,看護系の学会での演題も増えてきている。2002年からは文科省の科学研究費助成にCAMの細目が設けられ,研究資金が補助されるようになったことなどから,「もう1つの」医療への理解と活用が進んできている。
鳴井(2003)によって行なわれた調査では,CAMの利用を求める患者のニードに対して確証のある知識・技術を保有していないことによる看護師のジレンマが見受けられると報告されていた。新田(2006)による報告では,8割以上の看護師が「CAMへの関心」がある上に,9割以上が,看護ケアとして「実施している」し,「CAMが必要だ」と感じている。手技の専門性に自信がなく,講習会など機会があれば受けたいと願っているものが多数いる一方で,すでに自ら研修を受け資格を取得して,その可能性を追求しはじめている看護師もいるとの実態が示された。いくつかの課題を抱えながらも,看護師の間にCAMを使うことへの関心が高まっていることがうかがえる。
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