連載 都立看学の授業研究【最終回】
地域で生活している精神障害者のナラティブからの学生の学び
井上 真弓
1
,
寳迫 佳代子
1
,
大野 順子
2
,
小池 克夫
3
,
川田 淳子
4
,
庄司 光子
5
,
高橋 弘子
6
,
金井 律子
7
,
外山 和子
5
,
小川 隆美
4
,
大野 朝子
1
1青梅看護専門学校
2西多摩保健所
3北多摩看護専門学校
4板橋看護専門学校
5広尾看護専門学校
6荏原看護専門学校
7南多摩看護専門学校
pp.334-340
発行日 2007年4月25日
Published Date 2007/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100678
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はじめに
精神看護学概論では健康とは何か,こころの健康とは,危機とは何か,危機を乗り越えられなかった場合の,ライフサイクルに応じた身体・精神に及ぼす障害など,幅広く学生に教授している。
この科目は,入学後半年で履修することになっている。看護学生ではあるが,学生はまだ自らの健康にあまり関心を持たないばかりではなく,精神障害に対する理解はむずかしく,多くの学生の描く精神障害者像は「会ったことがないからわからない」「なんだか恐そうだ」「私たちとは違うのではないか」などさまざまである。講義では,学生が精神障害者を理解できるよう,VTRや教員の体験事例を教材として活用するなどの工夫をしている。しかし,これらの教材の工夫にもかかわらず,精神看護学実習では実習開始時,強い緊張感を持っている学生がほとんどである。
森川ら1)は,精神看護学および母性看護学での「当事者参加授業」についての教育成果を検討し,学生の主体性・創造性を育てることに役立つことが示唆されたとしている。そこで,都立看護専門学校でも,精神看護学カテゴリーにおける授業研究として,精神障害者の対象理解を目的に,「当事者参加型授業」を取り入れる検討を重ねた。
その結果,地域で生活している精神障害の当事者を講師として招き,これまでの体験や思いを語ってもらう機会を設けることができた。今回,学生が当事者の体験を聞くことによって,見えない心の障害が見えるものに,心の障害も身体と同様に障害の一部であることが理解できることを期待した。
精神看護学概論における「当事者参加型授業」が,学生にとって有効であったのか,当事者の語りから学生が何を学んだのかを報告する。
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