在宅医療技術の進歩[27/最終回]
在宅ホスピスケア ナラティブの視点から
二ノ坂 保喜
1
1(医)にのさかクリニック
pp.250-253
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100085
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カルテから人生が見えるか?
われわれ医師は,カルテに病歴などの事実を記載することを教えられ,訓練されてきた.
主訴は何で,それはいつから始まったのか,その程度や性質は? 過去に患者がかかった病気や手術は? アレルギーはあるか? 家族歴は……患者のさまざまな話から,診断や治療に必要な情報を事実として抽出し,カルテに記載することが問診における医師の第一の仕事であると教えられてきた.問診でしっかりと事実をつかむことが,正しい診断,正しい治療に結びつく,と.
たとえば患者が「夜よく眠れないんです.いろんなことを思い出して……亡くなった母親と同じ病気だと思うと心配になって……そうですねえ……この前子どものところに旅行に行った頃からでしょうか?……」といった表現を聞きながら,回りくどい(と私が感じる)患者の話から,『夜間不眠.不安があるようだ.先月末から』という事実を記載する.
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