特集 臨地実習──学生を大切に育てたい
看護チーム育成の教育を考える―臨地実習でのプロセスからグループを育て,個人を育てる
渡邉 真紀
1
,
石田 美知
1
1津島市立看護専門学校
pp.753-759
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100474
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はじめに
日頃,学生たちは“看護は1人ではできない,臨地実習でのグループも1つの看護チームである”と教えられ,協同学習を通して様々なグループ活動を体験し,看護師のチーム作りの素地を養っている。
協同学習とは相互作用的な教育方略であり,グループ形成を通して,チームで効果的に働く方法を学ぶことができる。この方略は,コミュニケーションスキル,認知的スキルだけでなく,社会的スキルの発達にも重点が置かれている1)。チーム作りの素地である社会的スキルの発達は,実習の価値や有用性をより高めることになる。
3年次(昼間定時制)の臨地実習後,Aグループのメンバーたちから,「グループ内の調和がとれず困った」という声を聞いた。4年次にも同メンバーで半年にわたる臨地実習が予定されており,学生たちは強い不安を抱いていた。このままでは,臨地実習という大きな体験の中でしか得られない“今ここに一緒にいる仲間から学ぶ”ことができなくなることが懸念された。そこでこのことに問題意識を持ち,チームワークから実習の満足感を高めることを期待し,“グループを育て,かつ個人を育てよう”と取り組みを始めた。
私たちは,協同学習という方略を活用して,実習グループという1つの集団内における学生の相互作用に働きかけ,個人の特性をより伸ばすことに力を注ぎ,その変化をみとどけた。本稿は,その形成までに大きな変化のあったAグループの4年次の臨地実習のプロセスにおける,学生の成長の有り様と教員の関わりの意味についてまとめたものである。
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