看護教育研究
臨地実習における個人情報保護―実習記録の施設内管理を施行して
清水 佐智子
1
,
緒方 重光
1
1鹿児島大学医学部保健学科看護学専攻臨床看護学講座
pp.906-910
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100387
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はじめに
2005年4月に個人情報保護法が施行され,看護学生が臨地実習で「情報を得る,活用する」にあたり,情報を適正に取り扱うことが求められるようになった。学生の用いる情報には「実習記録」と「口頭での情報伝達」があるが,これまで管理上の厳密な取り決めがなかったことから,個人情報の保護に関して早急に対策を立てる必要にせまられた。日本看護協会も指針を示し,「実習記録の院外への持ち出しは原則禁止とし,やむを得ない場合はルールを遵守したうえで持ち出す」としている1)。このような流れのなか,われわれは検討を重ねた結果,個人情報保護の観点から実習記録は施設から持ち出さず,院内で厳重に管理することが望ましいと最終的に結論を出した。
そこで,成人看護学実習において,「メモ帳を含めて実習記録はすべて実習施設内管理とし,特例はつくらず施設外への持ち出しは禁止する」ことを以下の理由から試行した。1)情報の匿名化を図ったとしても,患者が特定される可能性が全くないとはいえない2),2)実習記録の紛失や置き忘れなどの事故が発生している3),3)学生が情報の重要性を認識し,適正に取り扱うことができるようになることへの期待である。
そして,記録の施設内管理による学習への影響を極力排除するようにして実習を行った結果,個人情報保護という目的が達成されていたかどうかを,調査・分析した。
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