特集2 更年期だけではない性差がもたらす身体の異変 性差医療の現在・未来
この領域・疾患にも性差がある
高血圧における性差
鈴木 洋通
1
1埼玉医科大学腎臓内科
pp.729-732
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100356
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高血圧には,原因が明らかにされている2次性高血圧と,原因が現在に至るまで明確に見出されていない1つの症候群と考えられている本態性高血圧がある。本態性高血圧は高血圧の90%近くを占める。高血圧は本態性あるいは2次性を問わず性差が存在することは比較的以前より知られていたが,ガイドラインや教科書に病態生理や治療法に男女差がある可能性に詳しく言及したものは少なかった。各国のガイドラインや教科書に女性は男性とは別個に記述されるようになったのは最近のことである。
血圧の上昇は,男性では一般に30歳頃より肥満,コレステロールなどの脂質系の変化,さらには生活様式や仕事などのストレスと関連して起こってくる。一方女性では,出産後に比較的肥満傾向になるにもかかわらず,血圧や脂質などの内部環境が保持されつづけることが多い。これはエストロゲンが重要な役割を果たしているとされている。
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