特集2 更年期だけではない性差がもたらす身体の異変 性差医療の現在・未来
この領域・疾患にも性差がある
高脂血症における性差
佐久間 一郎
1
1カレスサッポロ・北光記念クリニック
pp.732-735
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100357
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わが国では,最近食事の西欧化,家事労働の省力化,自動車の普及などによる運動量の低下から,高脂血症が増加しつつある。脂質代謝に関連する酵素や受容体には女性ホルモンであるエストロゲンが作用することから,脂質代謝には性差が生じる。本稿では,高脂血症における性差について解説したい。
日本人における脂質の年齢による推移
図1は,日本人における総コレステロール(TC),トリグリセリド(TG),高比重リポ蛋白(HDL)-コレステロール(C)の男女別,年齢別平均値をグラフにしたものである。TCは20~40歳台まで男性で高いが,50歳台以降は女性で高くなる。これは閉経により,女性でエストロゲンが欠乏するためである。高脂血症をTC240mg/dL以上とすると,50~70歳台の日本人女性は半数近くが「高脂血症」ということになる。
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