特集1 看護学生の論文 入選エッセイ・論文の発表
エッセイ部門
信頼される看護
福山 優加
1
1奈良県立奈良病院附属看護専門学校
pp.658
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100338
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私の曽祖母は2年間,病院の老人ホームに入居していました。病院の看護師さんたちは,私がお見舞いに行くたびに,笑顔で病室へ案内してくれていました。患者さんに対しても身内に対してもすごくいい対応で,この病院なら曽祖母をまかせても安心だと姉と話したこともありました。
昨年の1月,曽祖母は老衰のため亡くなりました。午前2時頃,祖母からの電話でそのことを知り,私はすぐに病院へ向かいました。私が着いた時には,曽祖母は車に乗せられているところでした。曽祖母の顔はすごく穏やかで,この病院で本当によかったと思っていました。しかし,見送りに来た看護師さんの中に1人,ポケットに手をつっ込んでいる人がいました。その姿が「厄介者が1人いなくなった」と言われているような態度に見えて,私はすごく腹が立ちました。1月で,しかも真夜中だったので外はとても寒かったです。けれど,せめて曽祖母が車に乗って行ってしまうまではちゃんとしてほしかったという思いがありました。あんなに信頼していた病院だったのに,1人の看護師の行動が私だけでなく家族全員の信頼をなくしました。
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