連載 世界のフィールドから 健康づくりはボーダレス・19
Management Sciences for Health(MSH)—国際的保健協力NPOの一例
藤崎 智子
1
1MSH日本
pp.142-146
発行日 2001年2月10日
Published Date 2001/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902995
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皆さん,「途上国の保健医療分野に対する援助を行うNPO(Non-Profit Organizations)」という言葉から何を想像されますか? コソボや東ティモールなどの紛争地やトルコ地震などの災害時に,緊急医療援助を行う市民団体やボランティア団体,またアフリカや中南米の村の診療所で妊産婦や子供の検診や治療にあたる医師,看護婦,または保健婦や助産婦を派遣するといった活動を想像される方も多いと思います。今回,皆さんに紹介するアメリカの国際保健NPO(Management Sciences for Health:MSH)は,そんな日本人の多くが抱く国際保健医療協力NPOのイメージとはかなり異なった民間非営利組織です。
MSHは米国ボストンに本部を置く米国登録NPOです。1971年に数名の若者によって創設されて以来ほぼ30年,その活動の範囲も組織規模も拡大し,現在は600名を超える常勤スタッフが世界中でさまざまなプロジェクトに従事しています。スタッフは40を越える国籍をもつ非常に多様な人々の集まりです。私はこのMSHの唯一の日本人スタッフとして,1997年から働いています。以下,できるだけ実際の例を交えながらMSHの活動の内容,組織そしてそこで働くスタッフ(私の同僚たち)の姿を皆さんに紹介したいと思います。
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