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特集 国際交流・協力
国際医療協力のための基礎知識―開発協力における国際保健医療協力
International medical cooperation in development.
建野 正毅
1
Seiki Tateno
1
1国立国際医療センター派遣協力第一課
11st Expert Service Division, Bureau of International Cooperation, International Medical Center of Japan
キーワード:
国際保健医療協力
,
開発途上国
,
貧困
Keyword:
国際保健医療協力
,
開発途上国
,
貧困
pp.625-630
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101547
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はじめに
わが国は,政府開発援助の分野で長年世界のトップドナーとして途上国への協力を行ってきた.保健医療分野は,わが国が行っている国際協力の重点の一つである.協力の現場では,①開発途上国の保健医療体制の中核となる施設へのハード・ソフト両面での支援,②プライマリ・ヘルスケア(PHC)の視点を重視しつつ,可能な限り多くの人々に基礎的な保健医療サービスを提供する保健医療システム構築の支援,③わが国の経験を最大限活かし,開発途上国の状況に応じた政策立案・実施能力向上のための支援,④協力の効果を持続的なものにするための,住民参加およびNGOとの連携強化,などを中心に活動が展開されている.
PHCの視点を重視した活動では,母子保健プロジェクトや地域保健医療システムの確立をめざしたプロジェクトを実施しており,その数も増加している.これらは,相手国の自主性を尊重し,自助努力へのサポートやオーナーシップに重点を置いた協力を目指したものであり,現場主義や住民参加の手法をとりながら,途上国ならびに地域の真のニーズに応えるためのプロジェクト活動である.従来,保健医療分野における協力は,特別な疾患対策や特定の技術を移転する協力が主流であったが,近年では,PHCを中心にした活動や,行政や住民組織を巻き込んだ地域保健活動が中心になってきている.
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