連載 感染症 Up to Date・25
O157対策における保健所の機能と保健婦独自の役割
貞本 晃一
1
1北海道帯広保健所
pp.678-679
発行日 1997年8月10日
Published Date 1997/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902901
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はじめに
帯広の私立幼稚園を原因施設とする腸管出血性大腸菌O157集団感染事件から半年以上が経過しました。集団感染が探知された当時は,保健所として,所長として多種多様な問題に迅速な対応を迫られ,四苦八苦の毎日だったことを思い出します。帯広の事例の特徴の1つはHUSを併発した重症患者の発生が多かったことが挙げられます。そのために医療の確保は当面する最も重要な課題でした。また,2次感染の拡大の阻止,感染経路の解明も保健所にとっては重要な役割で,全職員一丸となって対策に取り組みました。
帯広の事例のもう1つの大きな特徴は,現場が中心となり対策の実施方針を決定したことです。医療の確保や2次感染の拡大の阻止では保健所,帯広市,医師会,医療機関などが連携しながら対策を実施し,また原因食品の究明には,地元の畜産大学の協力を得ることができました。医療の確保や2次感染予防,そして原因究明と,地域の総力を結集することができたと思っています。
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