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保健所運営と保健婦の役割—保健婦は保健所の灯である
竹内 浩治
1
1神奈川県藤沢保健所
pp.11-14
発行日 1957年7月10日
Published Date 1957/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201445
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新しい保健所が発足してから10年の歳月を経たが,この間に我が国の公衆衛生は国民経済の発展及び治療医学の進歩と相俟つて異常な前進を示した.
この間,保健所の業務は昭和25年4月厚生省より示された保健所運営指針に基いて行われて来た.この運営指針そのものは極めて良く検討され,記述されていて殆んど大部分は現在そのまま是認し,保健所業務運営の基本的指針として使用し得るものであると思われる.この指針においては,保健予防課では種々のクリニックと地区活動が,衛生課では業者の監視指導と一般住民に対する啓蒙指導とが常に表裏あやをなして記述されているのであるが,従来の保健所活動においてはややもすればクリニックと業者に対する監視に重点がおかれ,地区活動,一般住民に対する啓蒙指導が軽視される傾向があった.これは決して我々が原則的に前者を重視し,後者を意義少いものと考えていた訳ではない.限られた予算と職員数では法規の規定が重要であり,予算措置の行われ易い,又業務の実施し易いクリニックや業者の監視に重点が置かれるようになつたと考えられ,過渡的現象として止むを得なかつたと思われる.
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