研究
市町村保健婦活動を推進するための現任教育のあり方
佐久間 清美
1
1愛知県立総合看護専門学校
pp.36-47
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902812
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はじめに
わが国は世界でも例を見ないスピードで,人口の高齢化と出産率の低下,疾病構造の変化などに直面している。このような状況に対応するための総合的な地域保健体制を確立し,その強化を図る地域保健法が平成6年7月に制定された。この法律により,市町村は保健センターなどを整備して,住民のニーズに合ったきめ細かな保健サービスを総合的に提供し,健康と福祉の町づくりを一元的に実施する機関であることが明確になった。また,地域保健対策の基本指針には,保健所は市町村職員らに対する現任訓練や研修を積極的に推進するとある。
市町村が目指す保健活動を活発に推進していくためには,特に市町村保健婦の現任教育のあり方についても検討すべき課題の1つと考える。市町村保健婦に対する現任教育のうち,事業実施に必要な研修は各市町村レベルでも行われてきている。しかしながら,保健婦の基本技術や専門能力を育てる研修,経験年数に合わせた段階別研修などは,市町村単独で実施するには困難な状況がある。全国的にみると,規模が小さい,研修指導者がいない,長期的な研修計画が立てられない市町村が多いなどの種々の理由から,市町村保健婦の現任教育は,県,保健所レベルで統一的に計画・実施されているのが一般的である1)。
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