特集 看護面接の追究(1)
神奈川県保健指導技術講座より
保健婦現任教育の一つのこころみ
成田 栄子
1
1元神奈川県衛生部衛生総務室看護係,現熊本大学教育学部看護科
pp.12-14
発行日 1972年8月10日
Published Date 1972/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205119
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保健婦の活動が公衆衛生プロパーの方向から、看護を起点とした活動へと動きつつあるのは、まぎれもない事実である。本誌ではこの動きをとらえて、6月号から"看護"を、あらゆる角度でとらえ直していく方向を探り始めた。
"看護"="現在の臨床看護"というニュアンスのとらえ方をしている保健婦がいないわけではない。しかし、これはあまりにも看護の本質を理解Lていないところからくる発想とはいえないだろうか。
ある病院の看護婦に、その病院の小児科に小児喘息の子供の患者が急増しているという話を聞いた。ところが、そこの看護婦はその事実を知っているだけに終わっている。病院に来る子供たちの生活は、病院のベッドが主体ではない。当然、子供たちの生活の場が密接にかかわりをもっている。何が原因で喘息の子供たちがふえているのか、看護者は当然のこととして疑問をもち、その原因の追究に立ち向かわなければなるまい。その場のなかに、患者(住民)サイドに立つ看護者の姿が浮かび上がってくるではないか。
患者は、住民は、真の看護者の姿を、身近に求めている。荒廃した医療のなかで、唯一の救いは、"看護"だけではないのか。
"看護"をとらえ直す方向の一つとして、本号から3回に分けて、"看護面接"を、事例研究を中心に追ってみる。広範な読者の声が寄せられることを期待してやまない。
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