特集 保健婦批判—あなたはどう思う
[保健婦批判は妥当か]
「ケアコーディネーションできない」批判に対して
田中 久恵
1
1杏林大学保健学部看護学科
pp.774-777
発行日 1995年10月10日
Published Date 1995/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902790
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保健婦に期待される役割
「ケアコーディネーションは保健婦の役割といいながら,調整能力がなくコーディネーションできていないじゃないか」という批判が聞かれる。しかしながら,保健婦はコーディネーションが声高に叫ばれるズーッと以前から,貧しい環境条件の中で在宅療養を余儀なくされている結核患者や乳幼児を抱えた母親たちに対して,当時で使える限りの制度や地域の資源を活用して健康支援をしてきた。時代が変わり,疾病構造の変化に伴い,その対象が寝たきり老人,難病,精神障害者たちに移ってくる中でも,これこそが保健婦の行うケアコーディネーションというような,すばらしい支援を展開している保健婦が各地にいることも事実である。
在宅サービスの充実強化が緊急課題である今日,このような実績からみても,保健・医療・福祉の領域をカバーし,全国にあまねく配置されている保健婦に,ケアコーディネーションの役割が期待されていることは当然のことといえよう。
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