連載 金丸弘美の食をめぐる旅・6
個性的な「お茶」
pp.447-449
発行日 2002年6月10日
Published Date 2002/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902624
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茶畑が東京の近くにあるというので,茶摘みの見学に行った。
神奈川県秦野市の高梨茶園。駅から車で20分もいくと,都心の近くとは思えぬ田園風景が出現した。丹沢の山を控えるこの地域は,かつてはタバコの一大産地として栄えたのだそうだが,昭和の初期に,その傍らで静岡の茶の種を植えたのが茶園の始まりである。種から育てるお茶を原種と呼ぶが,いまは,そんなお茶は珍しい。というのも挿し木によって,品種と呼ばれるいいお茶だけを栽培するのが主流だからだ。品種の代表格がヤブキタで,静岡のまさに藪の北側から見つかったのでこの名がある。高梨茶園には,ヤブキタはもちろんだが原種の茶も栽培されていた。
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