Japanese
English
特集 脳と個性
Ⅰ.“個性”を理解する企て
障害と“個性”
Disability and “individuality”
熊谷 晋一郎
1
Kumagaya Shin-ichiro
1
1東京大学先端科学技術研究センター
キーワード:
障害の社会モデル
,
環境的転回
,
痛み
,
社会的構築
,
自閉スペクトラム症
Keyword:
障害の社会モデル
,
環境的転回
,
痛み
,
社会的構築
,
自閉スペクトラム症
pp.13-17
発行日 2024年2月15日
Published Date 2024/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201807
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
筆者は,生まれつき脳性まひ*1という障害を持っている。筆者が生まれた1970年代,脳性まひは,早期発見してすみやかに濃厚なリハビリ訓練を行えば,高い確率で改善する障害であるとみなされていた1)。筆者自身も物心つく前から,1回1時間半の訓練を1日4-5回行うのが日課であった。訓練は子ども心に,非常に痛く,つらいものであった。
その後,1980年代になると,訓練の長期的な効果について多くの研究報告がなされ,当初考えられていたような効果は存在しないことが次々と明らかになっていった2)。また,それと同時期,世界的に障害者の人権問題に関する意識が高まり,世界各地で同時多発的に勃興しつつあった障害者運動が互いに連携をし始め,大きな勢力となりつつあった。
Copyright © 2024, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.