特集 助産婦学生がとらえた"日本の母"
個性的でおしゃれなお母さんに
椿 ふみ子
1
1聖バルナバ助産婦学院
pp.20-22
発行日 1967年3月1日
Published Date 1967/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203357
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女性だけに与えられた特権は,母親となる楽しみだと思う.以前,女性は,赤ちゃんに対して,これは確かに自分の子供だという確証が得られるけれども,男性は信じるしかないからかわいそうといって,猛烈に反撃されたことがある.男性は広く,世界的な見地に立って,子供をみつめ,できるだけよい父親であろうと努力するけれども,女性は自分の子という意識から抜けきれないし,出産したから,母になったのだという錯覚のとりこになってしまう.出産は母親としてのスタートだというのです.10カ月の妊娠期間は,スタートラインに立つまでの準備期ならば,結婚して妊娠するまでは,選手としての資格を得るためのトレーニングの日々といえる.母乳がもっとよく出るように一生懸命努力する.また,ミルクをつくって与える.おむつをかえる,これらの行為はすべて女性が母親になろうとしている姿なのです.子供にとっては,母親であっても,母親からみれば毎日が母親になろう.母親になろうとする行為の連続であるはずで,決して母親であるからではないというのです.
ところで,女性が,良い母親になるための教育を,どこで教わっているのか.結婚して,家庭をもって,子供ができた.そのときに自然に母親とされてしまっている.その間に,もちろん,本も読み,いろいろと話を聞くが,本当に良い母親になるための大事な基本的な勉強をどこでしているのか,また,そのために適切な指導者がどこにいるのだろうか.
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