特集 施策を生む研究と実践
【施策を生む研究2】根拠に基づき保健婦活動のビジョンを生みだそう−実践者と研究者の協同
岡本 玲子
1
1神戸大学医学部保健学科
pp.19-25
発行日 2001年1月10日
Published Date 2001/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902375
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研究は実践を支える力になる
研究成果は私たちの活動に根拠を与えてくれる。根拠のある活動は他者を納得させ,保健婦・士(以下,保健婦と略す)間にもコンセンサスを生む。それは,声の大きい人が言ったことでも自己完結的に信じていることでもなく,客観性を持つよう処理されているからだ。保健婦活動の効果を客観的に示せれば,他者に保健婦の社会的貢献が認知され,保健婦活動への社会的期待が高まり活動の場を保証される。
はじめに利用者ニーズありき。これはどのケア提供者にとっても基本中の基本の理念であろう。しかし今,これをあたりまえのように護りながら活動を展開できるのは,保健婦と少数の行政の相談業務に就く者だけではないかと考える。なぜなら,利用料金が時間単位で決められ,その限定された時間内に指定の業務を行わなければならない職種は,いくら利用者ニーズを中心に据えるよう個々に努力をしても,活動条件や組織の利潤を求める圧力から脱することが難しく,多かれ少なかれその影響を受けた活動展開にならざるをえないからである。その点行政保健婦は,いつも利害関係のない中立の立場で,利用者ニーズを中心に据えた活動を展開できる環境にある。これは今や希少価値と言っていい。
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