特集 施策を生む研究と実践
【施策を生む研究1】施策に結びついた海外研究レビュー
細谷 たき子
1
1福井医科大学医学部看護学科
pp.14-18
発行日 2001年1月10日
Published Date 2001/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902374
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生活習慣の改善が医療費減少に影響
厚生省が推進する「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」1)では,一次予防を重視する方向性が明確に示されている。健康日本21は米国厚生省が取り組む国民的健康政策「Healthy People2)」の流れをくむもので,健康障害への危険因子に着目し,生活習慣改善に基づく健康の実現に重点をおいている3)。このような情勢にあって,セルフケアが生活のなかで習慣化されることは,健康増進,さらに医療費削減に効果的であることが検証されれば,政策上大きなインパクトとなる。そこで,高齢者のセルフケアの経済的効果について書かれた論文をまず紹介する。
米国の研究者Stearns4)らによる「セルフケアの経済的示唆について」の研究目的は,セルフケア実施とメディケア経費のとの関係を明確にすることにある。セルフケアは,身体機能の維持と身体障害者や認知障害者の自立を主目的とするが,健康悪化の予防的行為を含むことから,長期的視点では医療費のコスト節減に貢献するかもしれないと,Stearnsらは仮説をたてた。そして,地域在住高齢者が自己申告したセルフケア実施とメディケア経費との関係を分析した結果,数項日のセルフケアがメディケア経費の減少に影響を与えていた。
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