特集 今を読み解くキーワード集
(K)QOL
健康関連QOL
水谷 信子
1
1兵庫県立看護大学
pp.1102-1103
発行日 2000年11月25日
Published Date 2000/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902354
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定義・語義
健康や疾病との関係を目的としてQOLを議論する場合は,健康関連QOL(health-related quality of life,以下HRQOL)という用語が使用される。健康関連QOLの定義については,欧米でも現在なお多くの議論が行われているが,その定義に関する一致した見解は得られていない。
Kaplan RNはQOLを「病気や障害が日常活動機能に及ぼす影響力」と定義しているが,多くの研究者は基本的な部分で共通している。この基本部分とはThhomas Kuchlerが,がん研究の領域で示した,①身体的機能や症状を重視する身体的側面,②社会的連携や社会での役割分担能力を重視する社会的側面,③感情の状態,抑うつと安寧等を重視する心理的側面の3点が共通部分である。このようなQOLの定義に共通する基本的部分は,世界保健機構(WHO)が設立された1948年に提唱した健康の定義「健康とは,単に病気ではないということではなく,“身体的,精神的および社会的に良好な状態”を指す」に端を発していると考えられる。もちろん,これ以外の要素も加味されてきている。
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