特集 今を読み解くキーワード集
(L)倫理
L 倫理
山縣 然太朗
1
1山梨医科大学医学部
pp.1105
発行日 2000年11月25日
Published Date 2000/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902355
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公衆衛生活動および疫学・公衆衛生学研究において,近年,倫理問題がクローズアップされてきた。なかでも,インフォームド・コンセントは医療の現場で,患者中心の医療を象徴するキーワードである。公衆衛生活動においても,住民中心のサービスを実施していくうえで,住民の医療,保健現場における自己決定権(インフォームド・チョイス)の実現など,これまで以上に倫理的配慮が必要となる。
また,疫学.公衆衛生学研究における倫理的配慮については,これまで,介入研究のような研究を除いて,あまり注意が払われない傾向にあった。それは,疫学・公衆衛生学研究の多くが,研究対象者に侵襲を加えない観察的研究であることや,対象者が大集団であることなどの特徴による。しかし,プライバシーの概念が「1人にしておいて欲しい」権利から,「自分の情報を自分でコントロールできる」権利へと変遷してきたことに伴い,個人情報保護の観点から,疫学・公衆衛生学研究で使われる健康情報についても,それが個人の情報である限り,その情報をどのように使用されているのかを明らかにする必要が生じてきた。
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