特集 今を読み解くキーワード集
(K)QOL
社会的QOL
水谷 信子
1
1兵庫県立看護大学
pp.1100-1101
発行日 2000年11月25日
Published Date 2000/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902353
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定義・語義
QOL(クオリティ・オブ・ライフ:quality of life)の概念定義については,まだコンセンサスが形成されていない。アメリカのRand研究所のDalkyら(1971年)は「個人の安寧感(sense of well-being),生活上の満足・不満足感(satisfaction or dissatisfaction with life),あるいは幸福感・不幸福感(happiness or unhappiness)がQOLである」とし,個人の主観的・心理的・意識的側面を重視している。しかし,Joun YP(1972年)は,QOLは,経済的環境のみならず社会的環境や物的環境など人間生活を取り巻く,すべての側面を考慮すべきであるとしている。
現在はこうした2つの立場を統合して,生活のしやすさや環境の整備と個人個人の安寧感.充実感とを統合的に加え合わせた立場がみられる。その代表例はアメリカの環境保護庁(1972年)で,QOLを「人々(集団および個人)の安寧(well-being)ならびに人々が生活している環境そのものの安寧(well-being)」と定義し,個人のwell-beingとともに社会全体の客観的なwell-beingをも重視している。
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