連載 いま知っておきたい環境問題・19
内分泌攪乱物質と健康(その1)—母乳とダイオキシン
内山 巌雄
1
1国立公衆衛生院
pp.866-871
発行日 2000年10月10日
Published Date 2000/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902278
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はじめに
内分泌攪乱物質がわが国で注目を集め始めてから,これまでにいくつかの健康影響に関するデータと汚染状況に関するデータが集積してきた。そのうち,内分泌攪乱作用に関するデータは,まだそれを系統だてて解釈するまでには至っていない。一方,環境中の汚染状況や生体中の蓄積はダイオキシン類やPCBを中心に,徐々にその状況が明らかになってきた。
しかし,現在検出されている値が果たして人や環境に対してどのような影響を与えているのか,あるいは現状では心配ないといえるのか,についての結論はもう少し待たなければならない段階といえる。そこで本稿では,最近は発がんや催奇形作用よりも,内分泌攪乱作用が心配されているダイオキシン類の母乳中の値について解説してみたい。
内分泌攪乱物質,ダイオキシン類についてのそれぞれ詳しい解説はすでに本連載1,2)で解説されているので,そちらも併せて読み返していただければ,理解も深まると思う。
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