特集 臨床検査の新しい展開―環境保全への挑戦
Ⅰ.地球環境の現状とその保全
6.化学物質による内分泌攪乱
渡邊 昌
1,2
Shaw WATANABE
1,2
1東京農業大学応用生物科学部
2大学院食品栄養学
pp.1237-1247
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904213
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はじめに
体内にとりこまれる外来性の物質でヒトのホルモン環境に干渉する化学物質は内分泌攪乱物質と呼ばれるようになった.古くからビールのホップ摘みの男性が女性化したり,女性は月経が不定期になったり,また羊や牛が特定のクローバーを食べることによって不妊になるなど,植物由来のエストロゲン作用を有するものがフィトエストロゲンとして知られていた.最近問題となっているのはいわゆる「環境ホルモン」であり,これはDDTをはじめとする人の作った工業製品が環境中に蓄積し,野生動物にまでひろく影響を及ぼすことが発見されたからである.
環境はヒトのみのためにあるものではなく,動植物を含む生態系そのものであり,生態系の汚染は人類を含む地球上の生命全体の将来に深く関連してくる.
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