連載 使いみちのない時間・2
カエルの子
丈久 了子
pp.162-167
発行日 2000年2月10日
Published Date 2000/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902146
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「眞弓さん,同窓会楽しかった」
終業間近,保健婦係長の渡辺が眞弓に声をかけた。保健センターの窓を赤く染めていた夕日が,もうすぐ街のネオンにその光を,譲ろうとしていた。
「ええ,なんかみんなと会ったら,学生時代に戻っちゃって。久し振りにリフレッシュできました」
「へえ,同窓会だったんだ」
眞弓の向かいに座っている伊賀保健婦が,帰り支度をしながら,会話に割り込んで来た。
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