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はじめに
介護保険制度は,保険者が市町村となる社会保険制度である。このため市町村は,住民に対して申請方法や認定後の介護給付のプロセスについてだけでなく,要介護認定の判定方法をはじめ,さまざまな内容のついて住民の理解を得ねばならない。
この新たな制度は,財源や運営制度が複雑というだけでなく,とくの「要介護認定」というこれまで諸外国にも例のない,データを解析した結果,示された数理モデルを基礎としたシステムを包含している。このシステムは,これまで看護の臨床などで多用されてきた看護度や症状の重症度あるいは痴呆度や寝たきり度などの各種の測定尺度とは別の概念から構成されている。
このような状況において多くの保健婦は,例えば,介護保険制度における介護給付をうけるために必要な訪問調査の調査員としての役割や各自治体における住民への説明という役割を担っており,まさに介護保険制度の最前線で活躍している。
これまで行なわれた自治体のヒアリング調査の結果からも,保健婦が要介護認定調査の調査員の役割を担っている場合が多いことが示されている。
また,介護保険法では,この調査は指定居宅介護支援事業者に委託ができるが,保健婦はこの指定居宅事業者から派遣された調査員に対する研修の指導者,あるいは研修の企画などにも携わっており,自らが調査員となるだけでなく,他の調査員に対する指導に関する役割も担っている。
日本看護協会が12月の発表した3255の市町村を対象の行なった調査の結果からは,保健部門の保健婦が介護保険の準備に関与している割合は5割を超えている。保健婦が行なった業務として多いものは高齢者の関する調査で,全体の8割以上を示している。この他の住民への説明という業務も多く,約半数が参加したと回答している。また介護保険実施後も要介護高齢者やその家族の対する相談や介護保険関係の広報活動に対して,約7割以上が関わる予定であると示されている注1)。
そこで本稿では,今後の保健婦活動の必須の知識となると予想される介護保険制度おける要介護認定の仕組みについて説明を行なう。さらに,要介護認定におけるコンピューター次判定の理解をする上で困難であると言われている「中間評価項目」の内容について述べたいと考えている。
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