特集 公衆衛生活動の過去・現在・未来
市民参加と地域ケア
石川 左門
1
1NPO法人愛隣舎
pp.907-912
発行日 1999年11月10日
Published Date 1999/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902068
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市民が描く21世紀の地域ケア像愛勝舎の歩み
1985年に関設された愛隣舎は,末期を迎えた筋ジストロフィー症児の在宅ケアを,日野市地元ぐるみで支えた援助活動に端を発している。心不全・呼吸不全の状態は,寝返りと吸引器による排痰など,一日二十数回にも及ぶ介助は過重負担となり,たちまち当該家族を一家共倒れ寸前の状況に追いやっていた。思い余った家族の訴えに応え,症児の主治医と有志の看護職,それに家族を支える隣人たちなどが参加し,チームケアで,一家は家庭崩壊を免れた。症児の死後,関係者らにより,介護者が過労で倒れた場合を想定し,その対応策についての論議がなされ,こうした際の家庭介護の肩代わりの場の必要性が指摘された。愛隣舎は,その後故人となった症児の遺志を尊重した遺族が,自宅を解放し,在宅支援型中間施設の実験施設として発足,今日に至ったものである。
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