連載 AIDS医療の最前線から地域へのフィードバックレポート・3
バンクーバー研修報告(その2)
池田 和子
1,2
1国立国際医療センター
2エイズ治療研究開発センター(ACC)
pp.866-869
発行日 1999年10月10日
Published Date 1999/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902060
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はじめに
前号では,バンクーバーの研修で訪れた各部門について報告しました。研修で訪れたバンクーバーの各病院内で提供されている医療やケア内容は,筆者が所属しているエイズ治療・研究開発センター(ACC)とほぼ同様で,自分の取り組んでいる活動に自信を持つことができました。その一方で,在宅療養支援や病院と地域の連携,そして積極的な予防活動などは斬新なことが多く,わが国でのエイズ対策もその地域ごとに計画された戦略的なものをめざし見直しを行う必要性を感じました。
最近,バンクーバーでは抗HIV療法の効果が期待できることとは対照的に,「HIVに感染しているかどうかわからない」「HIV感染を知っていても治療を受けない」という人たちが地域に増えており,彼らの健康管理が重要な課題になっていました。こうした傾向について,もはや医療機関で「患者を待っている医療」では対応できないため,地域のスタッフと連携して行われるコミュニティケアが,HIV/AIDS患者を支えているようでした。
本稿では今回の研修で最も印象に残り,今後わが国でも重要視されるであろうコミュニティケアについて報告します。
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