特集 いまどきの子どもの健康—養護教諭をパートナーに
子どもの健康問題の変遷—身体の問題について
正木 健雄
1
1日本体育大学
pp.458-464
発行日 1999年6月10日
Published Date 1999/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901988
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はじめに
戦後,わが国では戦争の影響が次第に消えるにつれ,感染症も少なくなり,子どもの健康状態は上向いていた。ところが,1960年になって「遠足で最後まで歩けない子がいる」という程度であったが,子どものからだに陰りが生じてきたことが報告された。1960年代後半には,公害による被害がまず子どもに現れてくるのではないかと心配された。1973年代には,「手指が不器用になってきている」ということが話題になった。そして,1975年には「背すじが妙だ」ということが訴えられた。
わが国では生活が“豊か”になり,便利になるにつれて,このように次第に子どものからだに変化が現れてきた。とくに保育や教育の現場で,このような事象を「子どものからだがどこかおかしい」と表現して話題にするようになったのは,1970年代後半からであった。
本稿は,子どものからだの変化に注目し,子どもの「健康」問題がわが国でどのように変遷してきたのかを概観することが目的である。
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