特集 事業所の健康管理を考える
安全衛生規則の変遷とその問題点
小沼 正哉
1
1日本鋼管健康管理所
pp.40-41
発行日 1970年12月10日
Published Date 1970/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204809
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労働安全衛生規則が,労働基準法にもとづいて昭和22年10月31日制定されて以来23年を経過,その間20数回もの修正が行なわれてきたが,この規則が労働者の安全衛生に寄与した功績は偉大なものである。なかでも,衛生管理者制度や,一般的な定期健康診断についての規定は世界にも珍しいものであり,多くの問題をかかえながらも,立派な成果をあげてきたといえる。しかし,時代の変遷により,結核中心の一般定期健康診断についての規則条文,通達が陳腐化したごとく,衛生上有害業務の基本的な考え方,範囲にについての解釈など,多くの問題点が指摘されつつある。世界に誇る衛生管理者制度についても,多くの改善がなされながら,なお,かえって各種の問題をつくってきている。
衛生管理者についての規定は,労働基準法の本文では単純に衛生管理者としか定めていないが,安全衛生規則の中では当初は医師である衛生管理者,医師でない衛生管理者の2種類のものが定められていた。その後,主任衛生管理者,衛生工学に関する衛生管理者の2種がふえて4種類となり衛生管理者の選任を要する事業場の最低規模も引き下げられ,よりきびしくなった。
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