特集 移植医療と保健活動の接点を求めて
東京都における臓器移植に関する普及啓発の展開
東海林 文夫
1
1東京都衛生局参事医療福祉部特殊疾病対策課
pp.30-35
発行日 1999年1月10日
Published Date 1999/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901919
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要約
1997年10月16日に臓器移植法が施行され1年経過したが,まだ脳死移植が行われていない。臓器移植医療が広く社会的に理解,協力されなければ,臓器提供も難しいと言える。臓器移植の普及啓発は国と地方公共団体が推進するが,住民と身近に接する保健所,特に保健婦の地域保健活動の中に臓器移植を加えてもよいと考えられる。住民への脳死臓器移植に対する理解と意識を高める普及啓発活動,臓器提供意思表示カードの記入法の説明や頒布,臓器移植が根治療法となる難病の相談など,地域保健活動を第一線で支える保健婦が担うことが住民,ひいては国民全体の臓器移植医療に対する理解を深める1つの道でもある。国民の理解と個人の尊い善意とその家族の協力の上に成り立つ臓器移植医療の確立を目指し,保健所が臓器移植推進を新たな役割に加え地域保健活動を進めることを期待したい。
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