特集 エイズ対策の再検証—人権の視点から
HIVに関する普及・啓発における「人権」のとらえ方
岩室 紳也
1
1神奈川県平塚保健所
キーワード:
人権
,
自己責任
,
自己選択
,
リスクとの共存
,
多様性の認知
Keyword:
人権
,
自己責任
,
自己選択
,
リスクとの共存
,
多様性の認知
pp.422-425
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901901
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公衆衛生・地域保健活動におけるHIVに関する普及・啓発は重要な課題であり,保健所などが講師の派遣を依頼されることも少なくない.初期のエイズ教育は「予防」という観点が主でそれほど戸惑いなく対応できた保健所が多かった.しかし,近年,とくに教育現場では「HIVに感染している人との共生」,「感染している人の人権擁護」,「感染している人に対する思いやり」などの視点を重視した啓発活動が求められており,公衆衛生関係者も講義内容を時代のニーズ,教育関係者の要望に答えられるように組み立てる必要がある.単に言葉を羅列して「正しい知識をもって,感染している人が差別されないように人権を尊重し,お互い思いやりの気持ちをもった共に生きる社会を作りましょう」というだけではだめである.さらに感染不安や同性愛などへの偏見を克服できなければ実際には「共生」する気持ちにはなれない.ここではHIVに関する普及・啓発活動における「人権」のとらえ方,伝え方を改めて検証する.
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