特集 保健婦にとっての研究
IV章 研究紹介
[本誌への投稿論文]
小児慢性特定疾患患児の実態と保健所の役割
山田 晴美
1,2
,
酒井 節子
2,7
,
川村 明美
4
,
斎藤 詔一
1,5
,
鈴木 七郎
1,6
,
有海 清彦
4
,
公平 綾子
3
1前,山形県長井保健所
2現,山形保健所
3山形県保健薬務課
4山形県中央保健所
5現,山形県立米沢女子短期大学
6現,西置賜教育事務所
7前,山形県保健薬務課
pp.852-859
発行日 1998年9月25日
Published Date 1998/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901861
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要約
長井保健所管内の「小児慢性特定疾患治療研究事業」の医療受給児を対象にして,慢性疾患児の療育指導における保健所の役割や支援の方向性を明確にするために調査を行った。
その結果,慢性疾患は多岐にわたり,治療状況や生活状況に幅があり,多様な実態があることが明らかになった。患児の日常生活に「制限がある」ほど保護者が療養上の負担を感じており,「日常生活が普通」でも心配ごとを持つ例もあり,そうした例には何らかの支援が必要と思われた。また,療養上の負担の内容として,「精神的負担」があると答えた保護者が最も多く,精神面のケアや同じ病気をもつ子どもの親の会の必要性を感じた。
保護者の要望やこれまでの保健所の関わりなどを踏まえ,慢性疾患児の療育指導における今後の保健所の役割として,
①保健所の療育相談の充実
②保護者への面接による各患児の課題の早期発見,早期支援
③精神的サポート
④各種(福祉など)制度の紹介やコーディネート
⑤勉強会(相談会)や親同士の交流の場の設定
⑥保健所連絡票などを使用した医療機関と保健所の連絡強化
⑦関係者に対する研修会や関係機関連絡会議の開催
⑧慢性疾患児のサポートシステム構築
などが考えられた。
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