特集 保健活動のパラダイム・シフト
[学際からのアプローチ]
日本の家族研究の概要と現代家族の変化
岸田 宏司
1
1ニッセイ基礎研究所生活研究部
pp.1017-1022
発行日 1996年11月25日
Published Date 1996/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901470
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はじめに
家族研究は,古くから社会学の中心テーマとして多くの研究がなされてきました。また,家族研究は社会学だけにとどまらず,心理学,人類学,歴史学などさまざまな領域から研究されています。家族は身近なものであるだけに常に関心が持たれ,時代の変化とともに変わる家族の姿がマスコミを賑わすこともよくあります。最近では,核家族化の進展で「家族崩壊」と言うことがジャーナリスティックに取り上げられました。
しかし,家族はその時代の社会システムと強いつながりがあります。戦後,激しく社会が変化する中で家族は当然その影響を受けて変化しているのです。変化は過去からみれば崩壊として見えます。しかし,未来に視点を移せばそれは崩壊ではなく,時代の動きを反映した変化となります。家族に対する思い入れは人それぞれです。そのため,その思い入れから現代家族がズレ始めると,どうしても家族が崩壊していくように写るのです。事実,核家族は戦後急激に増加しました。しかし3世代家族の数も減ってはいないのです。つまり,核家族が増えたことで3世代家族が占める割合は減少しましたが,数そのものは減っていないのです。そして家族観も,伝統的な大家族意識は綿々と残っています。
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