特集 家族機能と健康問題
家族の透明化—現代の家族機能とその問題
木下 康仁
1
1(財)日本老人福祉財団
pp.445-450
発行日 1990年6月10日
Published Date 1990/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900071
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あきらめの心理と耐える論理
看護をはじめ医療,福祉などのヒューマン・サービス分野でケアに直接従事している人々が家族について考えるとき,彼らの関心は家族の援助機能,あるいは,ケアへの協力・参加者としての家族にあると言ってよいであろう。また,家族の援助機能が問題として浮上するのは,何がしかの健康問題を抱えつつ地域社会に住む人々に関してである。ケア従事者はそうした状態にある人々が自分1人の力だけで日常生活を送ることがいかに困難であるかを経験的に熟知しているし,彼らの関わりには限界があるため,共同生活の形でケア対象者の最も身近かにいる家族の援助機能の重要性,不可欠で生を痛感している。
したがって,同居している家族がいればどのような形で援助機能が発揮できるのか,また,独り暮らしの場合には近くに家族がいるかどうか,いるならばどういう方法で彼らにケアに参加してもらえるかを考えるのである。
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