特集 家族
わが国の家族の変化と保健・福祉
山手 茂
1
Shigeru YAMATE
1
1茨城大学人文学部
pp.784-789
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207374
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■はじめに—家族問題と保健・福祉の課題
今年の8月末から9月にかけて,第23回国際社会福祉会議が東京で開催された.この会議のテーマは,「家族とコミュニティの強化」であった.
「家族」が国際社会福祉会議のテーマに選ばれたのは,世界各国において,それぞれ状況は異なっているが,共通に家族問題が深刻化し,その対策が重要な課題になっているためである.急激な社会変化が進んでいる今日,家族はその基本的機能である「家族員の健康で文化的な生活を営むことを保障する機能=保健・福祉機能」を果たすことが困難になり,その結果,家族にかかわる保健・福祉問題が社会問題として顕在化・深刻化しており,その予防および問題解決の援助が,保健・福祉政策および保健・福祉活動の緊急な課題になっている.保健・福祉の目的が,「すべての人びとが自立して正常な生活を維持すること」にあるとすれば,家族問題の発生の予防と解決の援助は,保健・福祉活動の最も基本的な課題であるといえよう.
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