特集 保健活動のパラダイム・シフト
[学際からのアプローチ]
セクシュアリティー・ジェンダー論
舩橋 惠子
1
1桜美林大学
pp.1023-1026
発行日 1996年11月25日
Published Date 1996/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901471
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はじめに
セクシュアリティー・ジェンダーとは
セクシュアリティーもジェンダーも,最近よく使われるカタカナ言葉だが,意味がわかりにくいという印象をお持ちの方が多いのではないだろうか。わたしもそう思っているし,何とか日本語にならないものかといろいろ考えるが,やはり今のところカタカナで表記するより他に適切な表現が見当たらない。わたしが理解している限りでは,およそ次のような意味であろう。
ジェンダーとは,性別の内容についての社会的に構成された認識である。わたしたちは通常,男性/女性に固有の意識,心理,行動,規範,役割,領域,シンボルなどがあると認識しているが,それらは,生物学的な雌雄の別によって一義的に規定されるのものではなく,歴史的・文化的・社会的に形成されたものであり,一種の集合的な思い込みである。たとえば,男性は,決断力に富み,力強く,ものごとに動じないのでリーダー向きであるとか,女性は,よく気がつき,やさしく,素直なので補佐役向きであるといった認識は,ステレオタイプ化されたジェンダーである。社会は,特定のジェンダーにもとついて編成されている。たとえば,企業は男性領域,家族は女性領域というように。
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