Japanese
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特集 現代社会と家族—諸病態との関連から
現代の家族とうつ病
Modern Family and Depression
佐藤 哲哉
1
Tetsuya Satoh
1
1新潟大学精神医学教室
1Department of Psychiatry, Niigata University School of Medicine
pp.633-641
発行日 1989年6月15日
Published Date 1989/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204724
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I.はじめに
うつ病と家族の問題を考える場合,おおむね2つの論点が指摘できよう。
1つは,うつ病の発病状況に関与する家族,あるいはprecipitating factorとしての家族である。Paykel38)も,彼のlife event研究の中で,夫婦間の論争の増加,離婚という家族の問題をうつ病の発病状況として第一にあげている。近年わが国では,中年男性のうつ病が激増している。また,中年期の離婚率が最近の10年ほどで倍増している。もちろん,わが国では離婚がうつ病の直接の契機となる場合は少ない印象を受けるが,今日の中年期における夫婦や家族が大きく変貌しつつあり,このことが中年期のうつ病の増加に直接間接に影響していることは,十分に考えうることである。これを通して,今日の家族の抱える問題へと光をあてることもできよう。
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