特集 保健活動のパラダイム・シフト
[学際からのアプローチ]
社会運動論
牛山 久仁彦
1
1地方自治総合研究所
pp.1005-1009
発行日 1996年11月25日
Published Date 1996/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901468
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はじめに
社会運動という言葉を耳にするとき,そのイメージの硬さやイデオロギー的な響きに眉をひそめる人も多いと思う。ある人は,いかめしい政治運動をイメージし,またある人は近寄りがたい鉢巻き姿のデモ隊を想起するかもしれない。確かに,そうした社会運動の一側面もありうるし,そうしたことの社会的な意義はなんら失われてはいないであろう。
しかし,社会学や政治学でいうところの社会運動は,政党の指導する運動や労働組合運動にとどまらず,市民運動や学生運動,ひいてはボランティア活動にいたる広範で多様な人間の営みである。雑駁な言い方をすれば,社会のさまざまなシステムに対して,なんらかの主張をもち,システム全体ないしは部分的な変更を求めるような運動こそが社会運動なのである。
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