連載 ジェンダーの視点から地域・生活を考える・10
環境問題におけるジェンダー[2]—環境と女性 ふたつの顔
萩原 なつ子
1
1東横学園女子短期大学
pp.830-833
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901430
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Witchies are back!!
1989年の夏,私はエコロジー思想,エコフェミニズムを学ぶために,アメリカ合衆国,バーモント州の森の中にあるソーシャル・エコロジー研究所にいた。その時,エコフェミニズムの講師から聞いたのがこのスローガンだった。魔女が帰ってくる!?魔女と言えば,中世の「魔女狩り」を思い出す。「魔女」の解釈にはいろいろあるようだが,「魔女」は,予言者であり,伝統文化の保存者であり,薬草を用いて病人を癒す,民衆のための医者であったが,その能力への畏敬の念は,やがて嫉妬,恐れに変わっていき,スケープゴートとしての「魔女狩り」へと発展していったと,どこかで読んだ記憶ががある。歴史を“女性”の視点から読み直した書としても有名な『魔女』を著したミシュレ(著者は男性)によれば,女性は魔女であり,ひとに幸運をさずけ,癒す役割をする。そして,「『自然』が彼女たちを魔女にした」「魔女はその手に自然の奇跡を握っており,また,助力者および姉妹として『自然』をもっている」とされ,さらには「『女』は母であり,やさしい保護者でまた忠実な乳母なのだ」という。
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