特集 保健婦活動研究論文集
母と子の教室活動の評価[1]
根橋 美保
1
,
丸田 美紀
1
,
百瀬 典子
1
,
麻原 きよみ
2
1長野県波田町
2東京大学大学院医学系研究科保健学専攻博士課程(地域看護学教室)
pp.203-211
発行日 1996年3月10日
Published Date 1996/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901331
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●要約
波田町では,乳幼児健診後のフォローアップとして母と子の教室活動を実施しているが,参加者や運営などに行き詰まりを感じ,保健婦,母親,共同研究者の3者で教室活動を評価することを試みた。
評価は,まず教室活動の目的を構造化することで,これを仮説と設定した。仮説の各項目(変数)について,面接調査,文集やカンファレンス記録からの抜粋,スタッフの話し合いなどより,母親の思いとスタッフの思いの2側面から情報を収集した。さらにスタッフ間で参加者を変化あり群と変化なし群の2群に分類し,各群の類似性に注目して仮説の項目ことに両群を比較検討した。
検討の結果,設定された仮説は,次のように修正できると考えられた。すなわち母親は,①母親同士の話し合いなどの相互作用の中で,②自分の気持ちを語り,共感していく。そして③子どものありのままを受容でき,子どもにとって何が大切かがわかるようになる。④この価値観の変化が生じた時,⑤母親の行動に変化が生じ,それは母子の成長につながっていった。障害や発達につまずきのある子どもをもつ母親は,今後,解決すべき問題も多い。そんな時,子どもにとって何が必要か理解し,行動できる母親になって欲しい。そんな力をつけるのがこの教室の目的であり,保健婦はこのような母親の成長するプロセスを援助する必要があることが明らかとなった。
以上のことから,教室活動について,目的に基づいて振り返ること,参加者の声を聞くことの必要性,目的を保健婦自身のものにすることの重要性を認識した。
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