特集 老人の虐待
老人虐待の概念化と在宅ケアの課題—日本の特徴と支援活動の方向
高崎 絹子
1
,
佐々木 明子
2
,
谷口 好美
1
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科
2山形大学医学部看護学科
pp.524-532
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901171
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はじめに
地域保健法の創設,医療法その他の法・制度の改正がめまぐるしく行われている昨今であるが,今後老人や介護家族をめぐる状況はますます厳しくなることが予想される。
昨年5月,埼玉県において,呆けてしまった妻と母親の2人を介護していた男性が,母親を殴って死にいたらしめた事件は,大きな波紋を投げかけた。この男性は仕事をしながら世話をしていたが,帰ってくるまでの間に,2人は外に出て俳徊し行方がわからなくなり探し回ったりすることが多かったという。2人の世話をすることに疲れ果て,いくら言い聞かせても外に出てしまう母親に腹立ちまぎれに,カッとして足蹴にした結果の死であった1)。
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