研究
在宅介護福祉サービス利用に関する影響要因の研究—在宅介護福祉サービスの利用に関する介護者の認識と支援体制の質的分析
実沢 千賀子
1
,
若松 真理子
2
,
大須賀 直子
3
,
佐藤 洋美
4
,
持地 木綿子
5
,
渡辺 佳子
6
,
安斎 由貴子
7
1福島県二本松保健所
2仙台市健康増進センター
3東北大学医学部附属病院
4東芝中央病院
5福島医療生協わたり病院
6郡山市健康振興財団
7宮城県企画部県立大学設置準備室
pp.384-389
発行日 1995年5月10日
Published Date 1995/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901145
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●要約
超高齢化社会の対応として,「保健医療福祉計画」を作成し,その中で,寝たきり老人を抱える介護者の負担軽減のための「在宅介護福祉サービス」の充実が図られている。今回,介護者を対象に,「福祉サービス利用に対する考えかた」「介護役割を担うことへの認識」「介護者を取り囲む支援体制」の3つの面から,福祉サービス利用に関連する要因を明らかにし,今後の有効活用を促進する一助とするための質的研究を行った。
その結果,介護者の福祉サービスに対する考え方が,利用に対して肯定的あるいは否定的でも,介護者自身の危機や周囲からの勧め,体験により肯定に変化し,利用につながる。また,利用者・非利用者ともに介護役割を担うことへの認識として,愛情や慣習があるが,利用者では福祉サービスを前向きに,あるいは割り切って活用する反面,非利用者は福祉サービスには頼らず自分1人で遂行しようとする傾向がある。更に,支援体制として,利用者は身内以外にも支援体制があるが,非利用者は介護者1人か身内のみで介護している傾向があるなどの要因が挙げられた。
これらの3つの視点は互いに影響しながら利用に関する要因を形成しているが,この他に「地域性」や「福祉サービス提供側の実態」も影響を与える要因として挙げられた。以上のことから,要因を明らかにするためには,対象者および周囲の環境を含めた多角的な視点をもって検討していくことが重要となる。
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