特別記事
ISPCAN国際シンポジウム&セミナー「児童虐待への挑戦」に参加して
徳永 雅子
1
1東京都世田谷保健所
pp.208-211
発行日 1995年3月10日
Published Date 1995/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901110
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日本の児童虐待の現状
大阪は,5年前から児童虐待防止協会を設立し,ホットラインを始めている。毎朝,関西テレビで母と子を撮ったテロップを流し,「1人で悩まないで,電話をかけて欲しい」と広報している。東京は,1年遅れて民間ボランティアが「子どもの虐待防止センター」を設立した。この動きに刺激されて,名古屋でも弁護士や医師らが集まり,ホットラインが始まりそうである。また,相模原の北里大学病院,久留米の聖マリア病院,和歌山大学病院で医師やケースワーカーを中心にした虐待の取り組みも始まっている。
それにひきかえ,保健所はまだ時代の流れに乗り切れない。地域保健法が平成9年から施行されるようになると,母子保健事業は市町村に移管されるが,虐待などの問題はどのように対応していくのだろうか。保健婦が1人で取り組めるものではなく,幅広い情報と専門家の連携,地域のネットワークなど難しい課題を抱えている。東京都は,現在児童虐待のマニュアルを検討中であるが,保健婦ももっと活発に意見交換をしていく必要があろう。そんな時期であるが,1994年9月16(金)〜17日(土)に,日本で初めて児童虐待の先進国から専門家を招いて,国際シンポジウム&セミナーが開かれた。
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