特別記事
アメリカ合衆国HIV・AIDS看護研修レポート[1]—検査へようこそ
石原 美和
1
1東京大学医科学研究所感染免疫内科
pp.638-643
発行日 1994年8月10日
Published Date 1994/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900976
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連載のはじめに
こんにちは。今回は連載の第1回目なので,自己紹介をさせていただきます。現在,私は東京の白金台にある東京大学医科学研究所感染免疫内科で,研究生をしています。もともと看護婦として病院で働いていましたが,いずれは公衆衛生と病院のもっと親しい関係をつくりたいと考えていました。今は,研究をすることが主な仕事で,研究テーマは“HIV感染者のQOL”です。しかし,実際には研究のかたわら外来や病棟でメディカルケースマネージメントをやっていることが,時間の多くを占めています。
メディカルケースマネージメントとは,病気を抱える人に対して,適切な医療サービスが提供されるように機能することですが,コーディネーターと異なるのは,自らもソーシャルワークやカウンセリング,患者教育,医療行為を行うことで,アメリカ合衆国(以下,米国)では,看護職が中心となって活躍しています。簡単に言ってしまえば,何人もの専門職を雇うよりも,合理的に1人でこなせる“何でも屋”です。意外にも,これは米国の患者さんにも好評でした。なぜなら専門職をうまく使いこなせない患者さんは,星の数ほどの専門家に囲まれ,誰が何をしてくれるのか混乱してしまい,適切な医療サービスが受けにくくなってしまうからです。専門家の悪いところは,専門以外のことはしないことですから,ケースマネージャーは患者に優しいシステムなのです。
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