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はじめに
保健婦規則が制定されて50余年になり,その間保健婦は社会情勢の変化や各時代の要請に応じた活動を展開してきている。昭和53年に国民健康づくり施策が打ち出され,従来保健所が主流的存在だった地域保健活動を住民に身近な市町村で展開することが望ましいとの方針で市町村へと具体的に移行しはじめた経過があった。また,昭和57年に,国民の老後における健康と医療の確保を図ることを狙いとして老人保健法が制定され,その事業が市町村主体で実施されてから12年が経過している。
保健所は市町村の行う老人保健事業への技術援助や指導調整の役割を担ってきたが,その間,市町村保健婦の設置が進み老人保健事業が推進されていく中で,改めて保健所の役割が問われるようになり,当然のことながら保健婦活動についても保健所と市町村の役割分担を考慮にいれた活動のあり方が求められるようになった。昭和61年,大阪府ではハード面を含めた「保健所整備構想」を進め,母子保健・結核・難病・精神障害・痴呆性老人など,より専門的な分野を大阪府保健所として担当する方向を示した。その後昭和62年,本庁に環境保健部と福祉部の両部にまたがる「保健福祉政策室」を設置し,続いて昭和63年4月,全国で初めての試みとして,府下22の全保健所に「保健福祉推進室」が設置されて新たなニーズである総合的な在宅ケアの体制づくりの役割を保健所が担ってきている。さらに平成2年に厚生省から「ニュー保健所構想」が打ち出され,保健所が総合的な健康づくり活動や在宅ケアの体制づくり活動などを,市町村および関係機関と連携しながら進めてきている。また,同年,国のいわゆるゴールドプランをうけて「脳卒中地域ケア推進モデル事業」を市町村と共同で取り組み,平成6年度は大阪府下全域で展開している。
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